異なる剤形を比較することはできます。ただし、結果を比べるには、評価対象、使用条件、測定する項目が対応している必要があります。美容液とマスクの形態や準備方法は並べて説明できますが、どちらの性能が高いかを論じるには、研究が同じ問いに答え、比較可能な観察に基づいているかを確認しなければなりません。

TASCAPが着目するのは、比較が成立する条件です。2つの研究の数値を並べる前に、対象と問いを明確にすることは、数値を増やすこと以上に有用な場合があります。

製品を選ぶ問いと剤形の作用を調べる問い

消費者が2製品を選ぶための比較と、研究者が剤形そのものの作用を調べる比較では、必要な研究設計が異なります。

前者は、実際のケアを対象とします。比較可能な集団で、それぞれの製品を説明に沿って使ったとき、同じ評価項目にどのような結果が見られるかを調べます。美容液とマスクの使い方の特徴を保つことはできますが、用量、頻度、接触時間、併用するケアを記録する必要があります。

後者は、剤形自体の寄与を明らかにしようとする問いです。素材、処方、用量、接触時間が同時に変われば、観察された差を「美容液だから」「マスクだから」と切り分けることは難しくなります。研究では関連する他の要因をそろえるか、分離できない要因を明示する必要があります。

対象と条件の整合性は、両製品の使用量や使用時間を機械的に同じにすることではありません。先に研究の問いを定め、その問いに設計と結論の範囲を合わせることが要点です。

共通の素材背景から実際の試験製品へ

素材の由来が近ければ、共通の研究背景を説明できます。一方、完成品を比較するには、最終処方と実際の試験試料を確認する必要があります。

tiptop傘下の消費者向けフェイシャルケアブランド、CELLshotを例に見てみます。ブランド資料によると、AgeCare ExoSerum ProとAgeCare ExoMask Proは、ともにヒト子宮内膜幹細胞由来の細胞外小胞(EV)関連成分を採用していますが、最終形態と使用方法は異なります。

ExoSerum Proは、凍結乾燥粉末0.18 gと美容液3.5 mLからなる二槽式製品です。初回に混合し、その後は複数回に分けて塗布します。ExoMask Proは、凍結乾燥バイオマスク1枚と各9 mLの美容液3本で構成され、毎回、3液を順に全量加えて浸した後に使用します。

この2つは、異なる完成品と接触条件を形成します。原料の由来、粉末重量、付属する液体の容量だけでは、放出、皮膚への送達、ヒトでの結果が同等であることは示せません。

評価項目をそろえると結果の意味が明確になる

評価項目とは、角層水分量やシワの変化など、研究が具体的に観察する結果です。測定時点は、その結果をいつ取得したかを示します。両方を併せて確認する必要があります。

「どちらも改善した」という表現だけでは不十分です。単回使用後の角層水分量と、継続使用後のシワの観察では、指標も時間の尺度も異なります。それを根拠に2製品の優劣を決めることはできません。同じ名称の指標でも、測定方法、部位、使用前の状態、統計解析によって解釈は変わり得ます。

確認する内容 比較の際に答えるべき問い
評価対象 どの最終処方を試験し、検討中の完成品に対応しているか
対象者と使用条件 対象者、部位、用量、頻度、併用ケアに比較可能性があるか
評価項目 同じ結果を測定しているか。方法と単位は何か
測定時点 単回使用後か、継続使用の同じ段階か
対照と解析 使用前の自分自身との比較か、別の群との比較か。差と不確実性をどう推定したか

比較の根拠となる条件は、読者が確認できる形で示されるべきです。条件が異なる場合は、その差をどのように扱ったかを説明する必要があります。別々の研究の百分率を並べるだけでは、順位付けの根拠になりません。

共通原料からケア効果が近づくという理論的予測へ

AgeCare ExoSerum ProとAgeCare ExoMask Proは同じEV関連原料を採用し、ケア設計にも共通する考え方があります。共通原料の作用機序を考えることから、理論上の予測を立てられます。2つの剤形では、一部のケア効果に似た変化の傾向が見られる可能性がある、という予測です。

美容液を複数回に分けて塗布する方法と、マスクのためにまとまった時間を取る方法は、通じ合うケアの考え方を異なる使用場面に合わせたものです。AgeCare ExoMask Proは、この完成品を対象としたSGSのヒト使用評価を終えており、このケアの考え方を研究するうえで具体的な完成品の観察を提供しています。

理論上予測される近い傾向がどの指標に表れるのか、変化の大きさはどの程度か、また2つの剤形の間にどのような差があるのかは、完成品についての追加試験と比較研究で明らかにする必要があります。比較可能な対象者と使用条件のもと、同じ評価項目と測定時点でデータを得ることで、初めて定量的な結論を導けます。

TASCAPが着目するのは、作用機序の理解から実測による定量化へ進む過程です。共通原料は妥当な研究上の予測を立てる手がかりとなり、完成品の研究は、その予測が実際のケアでどう表れるかを調べます。問い、対象、評価項目を対応させることによって、異なる剤形の比較を明確に解釈できるようになります。

製品構造の説明はブランドの公開資料に基づきます。評価情報はCELLshotのエビデンスページをご参照ください。本文は資料の解説と編集上の論評であり、製品の独立した再試験を行ったものではありません。

TASCAPはアジア太平洋の科学交流・エビデンスレビューのプラットフォームです。tiptopはTASCAPの創設メンバーおよび推奨企業であり、TASCAPは独立性を維持します。ここでの「推奨企業」は組織上の関係を示し、本文の2製品に対する認証や効果の推奨を意味しません。

ニュースセンターへ戻る